【セットリスト(145-2)】2023/10/5 北米2023 Baltimore公演 day2—時空を超えて


今日も輝けるひとつの海をのぞいてくださり
ありがとうございます。




北米2023は無事開幕し、ボルチモアは二日目を迎えた。
QUEENとして過去にここでコンサートを開催したことがあるかどうか調べてみたのですが、探した限りでは見つけることは出来ませんでした。

少なくとも、生のQUEENを初めて見る人たちが多かったのでは?と初日から感じられたことは、間違いではないかなと思っています。


ここにボルチモア二日目として投稿された、ある動画がある。
添えられたキャプションの中にあった言葉。

“フレディ・マーキュリーが亡くなったとき、このバンドのライブを生で見れるとは夢にも思わなかった。 私はアダム・ランバートこそ、それに近づくことができる唯一の人物であると強く信じています ”

このバンドをこの先、生で見ることはもうないだろう…。
あのとき、誰もが疑わなかった悲しい現実。
そこから22年後にメンバーのふたりが新しいボーカリストを引き連れてこの地を訪れることは、まさに奇跡そのものだったのだ。

私はふと、欧州2016のライブレポートを書いた時のことを思い出した。

東欧の国々は彼らにとってまだ未開拓の地であり、ルーマニア、ブルガリアはクイーンとして初めて訪れた国々でした。
その時の人々の歓喜の様子が、このボルチモアと似ていると感じたのです。

それぞれが感じてきた時間の長さは違うかもしれませんが、同じ想いを抱え会場に集まったクイーンファンの人たち。
ブライアンとロジャー、もちろんアダムにとってもボルチモアでの開幕は特別なものだった。
そんな中でアダムの存在を少しでも認めてもらうことができてよかったと、心から思うのです。


そしてこちらの動画内にもあったこのキャプション。

“The clips in this video will be highlights only to avoid copyright strikes!”
(この動画クリップは著作権侵害の警告を避けるため、ハイライトのみとなっています)

ボルチモア両日ともに投稿が少なかったこと(削除も含め)の理由は明らかだった。
そんな中でシェアされた数少ない動画をこのボルチモア二日目も使わせていただき、レポートを進めていこうと思います。









二日目のセットリスト
なんと!初日からの変更がありませんでした。
ツアー二日目に変更がなかったのはかなりレアなパターン。








それでは開演いたします!




Opening(parial)
1. Machines(Or ‘Back To Humans’)/
Radio Ga Ga(Short Ver.)
2. Hammer To Fall

スタートからHammer To Fallのオープニングまでの貴重な3分19秒。

最初に目を引いたのは画面のアングル。
天井部分を収めようとすると画面は縦になりがちだが、ステージ上空を含めた広範囲が横画面に収められていた。

スピーカーや照明装置が連なり、時折ライトに反射し浮かび上がるスモーク。
オープニングの頃はまだ場内には冷たい風が漂っている。
それはライブ独特のオープニングの空気感だ。

人物をフォーカスした動画はもちろん素晴らしいが、ステージ全体を捉えてくれたものから伝わってくる臨場感が、私はたまらなく好きだ。
情報量としては十分だった。


Hammer To Fall
イントロからレスぺを一振りするブライアンが
スポットに浮かび上がった瞬間の
雄たけび交じりの大歓声。

そこへアダムが花道を歩いてくる。
この時ブライアンは必ず振り返り
アダムを確認する。

一瞬の出来事だが
こちらの動画でもはっきりと確認できた。
オープニングの中でも私が大好きなシーンだ。









4. Another One Bites The Dust(parial)

サングラスを外したアダム
黙々とベースラインをつま弾くニール
その後ろでこちらも淡々とリズムを刻むタイラー

順調に展開していくオープニングを追っていた中
スクリーンに映ったロジャーの手元に
ふと目が留まった。
(1:47)
ドラムスティックが一瞬手元から離れかけた。

そう、同じようなことが2024年の来日公演
大阪でもあったことを思い出した。
この曲の同じ箇所だ。
大阪ではスティックを落としていて
アダムの煽りが加速した印象に残るシーンだった

もしかしてこの箇所は手元が狂いやすい、
そんなシーンかもしれない。

一瞬手を離れたスティックを上手にキャッチして
(まるで離れることを楽しんでいるかのように)
何事もなかったように動画は途中で終わっていた。


ロジャーの一瞬の手元を抜いてくれたスクリーン
そのモニター画面を捉えてくれた撮影者。

小さな偶然が重なり
ふと目に留まる彼らのステージのひとかけらを
一つ一つ拾い集める…そんなことの繰り返しだ私のブログは。









5. I’m in Love With My Car
6. Bicycle Race(partial)

ほぼフル動画の車の曲から違法バイクへ
2曲続けて貼っておきます。

ステージの隅…ではなく画面だと右下あたり
アダムのバイクが映らないかと凝視していたが
カメラアングルは動かず。

ド派手な改造バイク二日目の反応はいかに?
至近距離の画面から客席の様子をうかがう。
まあ普通に考えれば目の前にこんなのが現れたら
笑うしかない状況。

簡単に跨っているように見えますが
真ん中の座席と後ろの座席
小さな面積にコンパクトなお尻が乗っかって
それが回転しながら歌うという
さらにハンドルにブーツの踵を引っ掛けて
お尻、両足の三点で体を支え
これパフォーマンスていうより立派な芸当?よね😅

以前Killer Queenでカウチに仰向けになり、頭を床スレスレにもたげた状態(=逆立ち)で歌っていたことがありましたが、どんなに無理な体勢でもいつもと変わらぬ発声ができるアダムがいかに凄いかって、まあどれだけ絶賛しても足らないので、最終日まで褒めちぎりますよハイ😇














7. Fat Bottomed Girls

アダムがバイクから降りていきなり歌い出す…この頃は“コーラスなし”で始まるパターンだったということを改めて確認。
この翌年の来日公演、まさかの“コーラスあり”のフルバージョンに戻った大阪公演。
念のため最終日LAまでチェックしていきたいと思います。

1コーラスが終わった直後、おや珍しい
いつもは手拍子するとこ、両手でパンチ😶
ご機嫌ですね。

ブライアンのギターソロも気分は上々、花道を足早に駆け下りるいつもの光景、後方の階段を上る足取りも軽快、調子の良さがうかがえます。









10. Killer Queen

アダムはミュージカル出身なので
舞台でのパフォーマンスは慣れたもの。
そこに加えユーモアのセンスも抜群なので
シャンパンのグラスを傾けたりするだけで
笑いが起こる。

Killer Queenの演出は
自転車の曲(あれでも自転車)と合わせて
QALの風物詩になっている。









12. Somebody To Love

ボルチモアを訪れることがクイーンとして初めてであったとすれば、アダムの気持ちにも特別なものがあったはず。
それがわかったのは、さすが…やはりこの曲だった。

突き抜けるような声からストレスは全く感じられない。
1コーラス目が終わり花道へ歩き始めるとき、客席に向かってペロッと舌を出し笑いかけていた。
かなりの上機嫌な様子がうかがえる。

“Find me somebody to love”を繰り返す後半
両方のイヤモニを外すことで
いつものように気持ちは決まっていた。
ここからはオーディエンスの力が必要な
大事なポイントに差し掛かる。

アダムにはエンディングが見えていた。
会場とひとつになる、
“全員でクロージングを迎えよう”

最後の“love”を温め温め、オーディエンスに託した。
すぐ後ろで腕組みをするブライアンも
想いは同じだった。

そして、なんとここでもまた
珍しいことが起こっていた。

アダムはクロージングの部分
最後の最後の一句まで
マイクを通さなかったのだ。

いや、ここを歌わないことはあっても
最後の締めの“to love”は落としどころ、、、
にも関わらず歌う素振りは一切見せず
すべてを会場のファンに託した。


曲はファンのもの。
彼らが待ち続けた長い年月を埋めることが
自分の役割だということを
その立ち位置を見間違わぬよう
彼の意識の中からその志が消えることはない。

ふと昨年の札幌のアダムが脳裏をよぎった。
クイーンとファンの間の架け橋となるために
この曲は何度も彼を助けてくれた、あの日も。


“曲は生きている”
ブライアンの言葉を象徴している
Somebody To Love

アダムが歌うようになってから
大好きだったこの曲がさらに私は好きになった。
そして彼の戦友のように共に歩んでくれたことに
とても感謝している。









16. Under Puressure

相変わらずの相思相愛なふたりの姿が微笑ましいな…と見ていたら、後半に突入する直前、画面左から突如現れたブライアン😂(1:38)

ふたりの邪魔をしないよう後方で待機中のブライアンは、ステージ際の観客と戯れながら花道を上がってくる。
それに熱中しているが余り、慌てるブライアンの姿が時折り見られるのだ。

正直この曲、ロジャとアダムだけのアングルだと後方待機中の残りのひとりが気になってしかたない。
(撮影者の視点の定まらないカメラワークからも、そこらをウロウロしているであろうことは想像できる。)

Under Pressureはブライアンの観察がおススメです。
3回に一回くらいは“あらら…”という彼の姿が見られるでしょう😆









偶然にも数少ない動画の中から、この後半シーンを反対角度から収めてくれたものが見つかった。

遠慮がちに定位置に付きながらも、ここぞとばかり自分の存在をアピールする無邪気なブライアンの、これが愛され続ける理由なんですよね。









そして順番が逆になりますが、前半の動画も上げてくださっていました。

アダムのスタートがやや遅れ気味、安定の遅刻シーンは2015年あたりはよく見られた光景だ。
ロジャが歌詞をわざと(?)間違えたのか、アダムが何やらリアクションしている😆(0:44)

メインの三人がバタバタで、自分の仕事を黙々とこなしているサポメンのニールが際立っているという何ともまとまりのない(笑)ボルチモア二日目のUnder Puressureの現場です🤣









19. I Want To Break Free(partial)

この短い動画の中からわかることがあるとすれば
それは花道とは“二人の待ち合わせ場所のようだ”
ということ。

ブライアンはアダムが歩いてくる時間を
待つのが好きだし、
自分から近づいていく
つかず離れずの距離感も楽しんでいる。

そんなブライアンを泳がせる達人が、
アダムなのだ。

最もアダムがほとんどの時間
観客に背を向けていることから
どんだけブライアンのこと好きやねん!
ということは大前提なのだが。









20. (You Take My Breath Away)Who Wants To Live Forever

スタートして間もなく、アダムの向こうで動く影がブライアンのように見えたが、そこへ現れたブライアン本人にギターを手渡したその影は、よく見るとモフモフ頭のエンジニアだった。

ふと、この曲のギターってこのタイミングからだっけ?
またもや超初歩的な疑問が湧いてきた😶

冒頭にYou Take My Breath Awayが流れるようになったのは、2017年北米ツアーからだ。
そこまで遡ってみる。
冒頭部分はアダムのみの動画が多く、ブライアンを確認するのはなかなか難しい。
そして2023年北米の他公演で、ブライアンが同じタイミングで現れ演奏を始めているのが確認できた。

もうひとつ気づいたのは直前のブレイクフリーまでは黒シャツだったが、ここで現れたブライアンは白のシャツに着替えている。
You Take My Breath Awayの短い時間で衣装替えのために中座、エンジニアがレスぺを手に、待ち構えているということだろう。

しかし構えた瞬間に音を鳴らしギリギリ間に合っているのはすごいなあ。
プロとして当たり前かもしれないけど、こういうとこにブライアンのカッコよさを感じる。









23. The Show Must Go On

花道の先は、実はバイクの時以外にも回転している曲がいくつかあります。

この曲の2コーラス目からも回っているが、やはり意識してないと転倒する危険もある。
(ギターの人は絶対乗ってはいけないアトラクション😑)

各曲回転するタイミングはもちろん決まっているはずですが、それを忘れないでいるのもたいへんよねと素人目線で心配してしまいます。









24. Bohemian Rhapsody

実はこの日、曲のスタート前ちょっとしたアクシデントがあった。

The Show Must Go Onの曲終了直後、クルーの手を借りてすばやく衣装チェンジするのだが、この日はまだ二日目ということもあってか(初日は成功)スムーズに行かず、一度袖を通したにもかかわらず衣装替えを断念、ブルーのジャケットのまま登場した。

今回の北米ツアー、アダムはBohemian Rhapsodyのためだけの特別な衣装を用意した。
わずかな時間しか取れない曲の合間を使っての衣装チェンジ、相当な思い入れがあるのだろう。

めちゃくちゃカッコいい!私も大好きな衣装だ😍
この日は見ることができず残念だったが、ブルーのジャケットのボラプもこれはこれで希少なので結果オーライということで😆









Ay-oh
25. We Will Rock You
26. Machines/Radio Ga Ga(Short Ver.)
27. We Are The Champions

とても静かなアンコールだった。
ブライアンとアダムの表情はとても穏やかで、ボルチモア二日間が無事終わったことへの安堵と、いよいよスタートした北米ツアーへの期待感が溢れていた。

オープニングの仕様が変わり導入された新しいテーマ“Back To Humans”
デジタル化へと加速する今の世の中へ疑問符を投げかけた、ささやかな彼らの抵抗だった。

We Will Rock Youのあと、花道へ進んだブライアンの背後に緞帳が下ろされる。
うごめくロボットたちが打破され炎に包まれ、エンディングの最後の幕が上がった。

真正面からの映像がまるで劇場のワンシーンのように展開し、思わず息を呑む。
皮肉にも人間の手が作りだしたロボット社会に、ヒューマニズムがどこまで立ちはだかるのか。


きれいに繋がった2本の動画を載せておきます。
数少ない映像の中で大切な一コマが残せてよかったと、ほっとしている。
リスクを背負いながらも投稿、シェアしてくれたボルチモアの人たちに感謝したい。














最後にもう一本、こちらの動画を置いておきます。









この日もアダムの手はブライアンの背中にあった。

そっと添えられてきた彼の手はずっと変わらない
初めて同じステージに立った、16年前のあの日から。








クイーンを後世に繋いでいくために
フレディの手によって送り込まれた16年前。
そしてもう一つの大事なミッションは
ブライアンとロジャーを守っていくことだった。

最初はふたりに守られていたアダム。
ブライアンとロジャーのまなざしは
いつもアダムに注がれていた。

その立ち位置が逆転する兆しが見え始めたのは
2016年の頃だ。
アダムの最初の大きな転換期となった
2015年欧州から翌年
あのQ史に残る南米ロックインリオへの出演を経て迎えた
夏のフェスティバルツアー。

アダムの様子が一変していた。

それまでの肩ひじ張った自信とは違う、覚悟と責任が備わり自分の立ち位置を見極めた、それは彼をフロントマンと呼ぶことに躊躇していた私の概念を覆すほどの、有無を言わさない存在感だった。

ツアー初日から感じた確かな違和感。

アダムの何が違うのかわからないまま公演を追っていたが、気づきのひとつは曲のスタートとクロージング、バンドをっ引っ張っているのがアダムだと気づいた時だった。

ブライアンとロジャー、そしてサポートメンバーがひとつになりアダムを中心にステージは進んでいた。
アダムを気遣っていたふたりは、いつしか自身のパフォーマンスに没頭するようになっていく。

この頃からだと思う。
ブライアンとロジャーがどんどん若返り、
生きるエネルギーに満ち溢れてきたのは。

そんな中で変わらなかったのは
アダムが背中からそっと添える手だった。


変わらない、ということは
変わることより難しいかもしれない。

北米2023
変わらない彼らの姿を探していけたらと思います。









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